ジーンズのエイジング方法 〜在宅エイジングのススメ〜
皆さんはエイジングという言葉を聞いたことはあるでしょうか？恐らくジーンズやレザー、DIYなどが好きな方は耳にしたことがあると思います。日本だと老化や加齢と訳されることが多くネガティヴな印象を持たれがちですが、今回はジーンズにおけるポジティブな意味のエイジングについてお伝えしていこうと思います。
◯そもそもエイジングって？
そもそもエイジングというのはジーンズにおいて経年変化という意味を持ちます。経年変化とは時間が経つにつれて品質や性能が変化していくことを言うのですが、これは所謂劣化に当たります。元々濃紺であったジーンズが洗濯を繰り返すことによって色落ちし段々とアイスブルーに変化していく様や、穿き込むことによってフロントの股部分や膝裏にシワが入り擦れて退色していくのも経年変化に入ります。劣化というネガティブな表現をしましたがジーンズ愛好家の間ではこれをとてもポジティブな意味で捉えられており同じジーンズを一年中穿き続ける猛者もいるほどです。筆者でも大体300日前後はジーンズを穿いています。（同じものではないですが）
では何をそんな必死にジーンズを穿いているのかという話なのですが前述した「フロントの股部分や膝裏にシワが入り擦れて退色していく」という部分がミソです。退色させようと思うと穿き込むしか方法がなく、どうしても同じジーンズを穿き続ける必要があります。そうしてシワ部分が退色していく様をジーンズ愛好家たちの間では、アタリと呼ばれています。このアタリを出すために我々は狂ったようにジーンズを穿く羽目になるのです。ジーンズにおいてはエイジング＝アタリと理解して差し支えないと思われます。
◯アタリの種類
ではそんなアタリですが、部位によって名称が異なります。そんな中でも代表的な2つのアタリについてご紹介します。
・ヒゲ
ジーンズのフロント股部分にできたシワが摩擦により退色するとできるアタリのこと。濃淡差によって線が浮かび上がり放射状にくっきり線がでているものが良いとされています。↓
- ハチノス
足を曲げた時に膝裏にできたシワが擦れて退色することによって浮かび上がってくるアタリのこと。その形状が蜂の巣に似ていることからこの名称で呼ばれています。↓
以上が代表的なジーンズのアタリになります。ジーンズを穿いていたら気付いたらこの様な線が出てきたという方もいらっしゃるのではないのでしょうか。アタリの出かたや出る早さは千差万別で、穿く人の骨格や動作によって同じジーンズでも表情が全然違ってくるのです。こう言った違いの多くは個人のライフスタイルによって生まれるのですが、例えば普段から立ったりしゃがんだりという動作が多い方はシワ部分が擦れる回数が多いため比較的早い段階で濃淡の差がはっきりしたアタリが出やすいです。逆に普段デスクワーク等で動きの少ない方はアタリが中々出ず、濃淡の差が少ないことがあります。昨今はコロナの影響で在宅の時間が増え、動作の少ない生活を余儀無くされる方もいらっしゃるかと思います。ではそう言った方のために筆者的に在宅でも出来るエイジングのコツをご紹介したいと思います。
◯在宅エイジング
さて在宅でのエイジングのコツですが筆者がオススメの3つをご紹介します。
- とにかくルームウェアだと思って穿き続ける（お風呂と就寝時を除いて）
- 洗濯頻度を出来るだけ減らす
- スクワット
の３つです。エイジングさせるならばとにかく穿き続けることが最も近道になります。ましてや在宅エイジングなのでここはルームウェアだと思って割り切ってください。エイジングしているという意識を持たず、只々穿いているだけという心持ちが大事になります。これに関してはコツというより前提になりますね。
次に洗濯頻度を減らすという点ですが、ルームウェアで外って出ませんよね・・・？え、出る？もし出る方がいるならその度に洗濯したほうがよろしいかと思います。出ないという大変美意識が高い方がいらっしゃれば同居人に臭うと言われた場合やペットが最近自分に近づかなくなったといった場合に洗濯する程度でよろしいと思います。理由としましては洗濯による色落ちを防ぎ、濃淡の差が激しいアタリを出すためなのですが、「衛生的に無理！」という方や「そんなに激しいアタリはいらないかな」という方は普段通り洗濯していただいても構いません。逆に「一回も洗濯せずにバキバキにアタリを出してやるぜ！」という方もいらっしゃるかと思います。これはジーンズ愛好家の間では根性穿きと呼ばれるものなのですが、筆者的には非推奨です。理由としましてはやはり衛生面の問題で、バクテリアなどが繁殖しジーンズに余計なダメージを与えることにより予期せぬ穴や破れが起こってしまいます。綺麗なエイジングを目指すなら適度に洗濯をしましょう。
最後にスクワットですが、在宅エイジングで最も重要なのは家の中で如何に動くかという点です。このスクワットの動作ではヒゲ部分、ハチノス部分両方の部位に効かせることが可能です。なにも「正しい動作で毎日100回！」とかもやらなくて結構です。自分のできる範囲で取り組むことをお勧めします。スクワットができないという方もいらっしゃると思いますがその場合は日常の中でしゃがむ→立つ→しゃがむと言った動作を意識的に増やしてみると良いかもしれません。
もしくはエアロバイクもオススメです。注意点としては漕ぐことによってお尻部分の色落ちが激しいのでサドルにタオルなどを置いて擦れによる退色やダメージを防いだほうが良いです。
◯まとめ
以上が筆者的在宅エイジングのススメになります。エイジングという劣化がポジティブに捉えられるというのはジーンズの大きな魅力の一つです。アタリの種類ですが目に見えてわかりやすい代表的な2つを抜粋しただけになりますので、詳しくはまた別記事にてご紹介したいと思います。
この記事を読んでいる方は大なり小なりジーンズやエイジングに興味がある方だと思うので、今回の記事でより一層ジーンズの魅力が皆さんに伝われば幸いです。皆さんも在宅エイジングで自分だけのジーンズを育ててみるのは如何でしょうか。
意外と知らない？デニムとジーンズの違い
ジーンズ誕生から100年以上経った今我々の日常の中には当たり前のようにジーンズが溢れかえっています。もしかしたら穿いたことがないという方は少ないのではないでしょうか。しかしこれだけ認知されているジーンズですが、ジーンズについて知らないことって意外と多いのです。今回は知っているとちょっとドヤれるかもしれないデニムとジーンズの違いを野良ジーンズソムリエである私が簡単にお伝えしていこうと思います。
◯デニムとは何か
まずあなたは「新しいデニムが欲しいなぁ」と考えたときにいったいどのような服を思い浮かべるでしょうか？それは恐らくジーンズだったりしませんか？少なくとも靴ではないと思います。しかしデニムというものは本来ジーンズにも使用される厚手の綾織物（あやおりもの）の「生地素材」を指す単語なのです。つまりもしあなたが新しいデニムが欲しいと考えたならば、向かうべきは服屋さんではなく手芸屋さんということになります。
◯ジーンズとは何か
ならばジーンズとはなんなのかという話なのですが、ジーンズとは先述した綾織物を使い作られたパンツ類、つまりデニムで作られたパンツのことを指します。つまりあなたが新しいジーンズが欲しい場合は、そのままですが「新しいジーンズが欲しいなぁ」と考えれば服屋さんに行けるということになります。
しかし察しの良い方は「あれ？ならデニムパンツ欲しいなぁでも良くね？」と気づくことでしょう。確かにデニムパンツを求めるなら服屋さんに向かうことはできますがジーンズを買うことは叶いません。
「ついさっきデニムで作られたパンツって言うてるやん！鶏か？」と思われるかもしれませんが、実はデニムパンツとジーンズは厳密には違う物なのです。なので筆者は鶏ではありません。細部の違いは数あれど1番の違いはリベットの有無です。ジーンズには必ずと言っていい程リベットが打ち込まれています。是非あなたもお手持ちのジーンズを確認してみてください。
リベットとはジーンズの補強目的で付けられた金具のことを指します↓
このようにポケット周りにリベットが打ち込まれていたらあなたはジーンズを所有していることになります。デザインや時代によって打ち込まれている数や位置の違いはあれど、このような金具が付いていれば概ねジーンズと呼んで差し支えないでしょう。また別記事にて解説しますがこのリベットでの補強こそが歴史上「ジーンズ」というアイテムには必要不可欠なものなのです。
◯まとめ
- デニムとは生地素材のことである
- ジーンズとはデニムで作られリベットで補強されたパンツ類である
- 筆者は鶏ではない
如何でしょうか？拙い文章で申し訳ありませんが、デニムとジーンズの違いという目線からジーンズというものは意外としっかり定義づけられているということがお分かりいただけたらと思います。この違いを知っていれば服屋さんと手芸屋さんどちらに行けばいいのか分からないということがきっとなくなることでしょう。
まぁ「いちいち使い分けるなんて面倒くさい分かればいいじゃん」なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。こんなこと書いといて筆者も割とそう思っています。しかしこういう知識を通してジーンズに興味をもつ人が増えてくれたならばそれで良いと考えています。
これからジーンズや経年変化の魅力というものをどんどん発信していきたいと思うので宜しければまた読んでいただけると幸いです。感想・指摘・アドバイス等ございましたらお気軽にコメントよろしくお願いいたします。
